| 8.分裂型 |
この人柄は、クレッチュメルのいう分裂性格であるが、この型も、躁鬱性格が陽気で活発なものから、陰気で憂鬱なものまでも含んでいる。したがって、外から見た限りでは、別型の人柄のように見えてこの識別はなかなか難しい。 |
| この型は、鈍感と鈍麻、能動的と非能動的、作業障害の大小の組み合わせで5つの性格特徴が出てくる。その性格特徴の5つとは、むき熱中型、鈍麻型(無関心型)、自閉型、敏感型、停電型である。 |
| 8-1.むき熱中型 |
この型は、敏感にして能動的な活動性を持っている場合の性格特徴であるが、一応前に述べたような分裂型一般の特徴は持ちながらも、その上に積極的な意欲や強力な推進力とを持ち、ひたむきになって熱中しこれをやり遂げるようなとこがある。人嫌いな分裂型の中では一番活気に満ちて生気がある。 |
8-2.鈍麻型
(無関心型) |
この型は、鈍麻の極の方に近く座っている型でむき熱中型とは正反対の位置になる。したがって、その性格特徴も反対になってくる。何事によらず無感動、無関心といったところがあるので、人交わりとて例外ではない。進んで人交わりをするようなことはもちろんないが、誘われれば強いて拒否もしない。要するにどちらでもよい。無関心でよそよそしい感じである。ものの考え方も積極的に自分を打ち出すようなところがなく、どちらに転んでも自分に対して関係はないといった考え方である。 |
| 8-3.自閉型 |
この型は、精神が健康である不健康であるといっても、それは程度の差だけであって、自閉すること自身が、すでに社会生活には不健康な徴候になって現れてくる。人とのつきあいには抵抗が強く孤独的になりやすく、仕事ぶりも適応遅くてぐずつき、また粘り強さ、恒常性といったものに不足し、ものの考えにしても、思考だけがふくれてこれを現実に移す手段を欠く。また情意の状態にしても、感情が内にこもりすぎて欲求不満を起こしやすく、意志にしても迷いやすく躊躇してなかなか実現にいたらない。この型が健康な姿でいられるということは、人との関係の煩わしさを離れ、自分の最も気に入った仕事をしているときということになろう。 |
| 8-4.敏感型 |
鈍麻型が鈍麻の極に偏っていることで生まれてくる人柄であるとすれば、敏感型はそれと対照的に、敏感の極に偏っていることで生まれてくる人柄である。この人柄は、外界から来る諸々の刺激に対してはきわめて敏感に反応するが、それを一つにまとめて、自分の内に定着させ得ないところに問題があるということができる。したがって、他の分裂型と共通点は持ちながらも、その上にこの点が問題となり、自分自身を捉え得ないままに情緒的な不安定さが表立ってくる。 |
| 8-5.停電型 |
この型は、頭の働きが一時停止することから停電にも似ているのでそのように停電型と命名したものである。この停電現象がこの人柄の特徴を規定していることになる。この停電が誘発する主な特徴は、うかつ、勘違い、ぼんやり、忘れ物などいくつかあるが、その中でも雑念の湧出を誘い、それがために迷いの多い行動になって現れてくることが主軸になる。いかなる心身活動においても、何かの目的を持ってそれに打ち込んでいる間は雑念というものはおこらないが、一度それが停止すると、そのことと全く関係のない事柄が次から次へと浮かんでくるものである。 |
| 精神健康のとき |
1.社会性
人嫌いなところがあって、人との関係に関与することが苦手である。したがって人との協調性にも欠けやすく、自己中心的に独り居の傾向が強い。この様に人間関係に抵抗があるので、自然、動物学、天文、古典、芸術等人間に直接関係を持たないものに深く興味を持つようになる。また人と交わるような場合でも選択性が強く、その範囲、好み等が狭く限定されてくる。
2.仕事ぶり
選択性が強く、好きな仕事には手をつけるが好きでもないものには振り向かない傾向が強い。またてをつける場合でも適応遅くすぐには動き出さない。ただし、ひとたび動き出すと凝ってやり続ける。名人肌の仕事ぶりというか、凝り性というか間口は狭いが奥行きの深いやり口になる。そして、自発的に手をつけた限りにおいては精密にして正確な仕事をする。
3.ものの考え方
他のどの人柄にもまして理想的であり、理論的、形式的である。したがって、よく言えば理想家肌の理論家、あるいは冷静な合理主義者などともいえるが、また一面、その所論が現実や経験を遊離し一途に現状打破的になったり、同調し妥協するよりは自己主張的、独善的な傾向も生まれてきたりする。
4.情意の状態
感情は内にこもって表に現れない。したがって、何を思って何を考えているかを外から判断することは難しい。 |
| 性格上の難点 |
社会性に乏しい。選択性が強く自己中心的。作業障害があって機能がすぐ発動しない。 |
| 不健康のとき |
この型はいくつかの難点を持つので、不健康時の問題行動は実に多い無口、孤独、独りよがり、冷淡、偏屈、強情、ぼんやり、むら仕事等があげられる。 |
| 健康管理 |
1.この性格をどうにか変えてみようなどと考えないことである。人の言うことをよくきいての上で自分の意見も述べると言うほどに寛容な態度にすることや、孤独でいるものを人の仲間入りをさせるほどの程度は考えてみてもよいし、またそれならば可能でもある。しかし、根こそぎ変わった性格にしてみようとしてもそれは不可能なことなので、こういうものだということをまず認め、その上でどうするか考えることである。
2.この社会性乏しく、選択的で凝り性理論張って現実を遊離しやすいたちのものを、どこにおいたら一番心地よいか考えてやることである。
3.彼らに何かを説くような場合には決して頭ごなしにがつんとやらないことである。彼らは理論的、形式的な頭ぶりなので、よく理を通して納得させることである。
4.彼らは何しろ喋ることをしないのでその胸のなかを探索しにくいが、書かせると割合よく書くものであるから、お互いに書くことを通して健康管理をすることは有効である。 |